演志の現代仏教演義

日々の生活と仏教を考える私の一人雑談。

ゴーダマさんの示現

 昨日の夜、寝つきが悪かった。明け方だろう。夢を見た。
 東京出張の帰りの新幹線で「うとうと」している夢だ。隣の席には紺の背広を着たインド人らしき細身の人が座っていた。その人が「ボソッと」語りかけた。


彼  「演志よ。お前は何を悩んでいる。」
演志 「(ん?)あなたは誰ですか?」


彼  「余はゴーダマ・シッダールタである。」
演志 「えっ・・ゴーダマ・シッダールタ!!お釈迦様ではございませんか。」


ゴー 「えらく態度を変えたな演志。なぜ余が釈迦とわかったか。」
演志 「えっ・・それはゴーダマ・シッダールタと名のられたから。」


ゴー 「お前は名があれば、余を仏教の開祖、ゴーダマ・シッダールタ、釈迦と思うのか。ゴーダマ・シッダールタは、2500年前に北インド・コーサラ国の王子に生まれ、30才で出家、35才で悟りを得て説法の旅をして、80才で入滅した。死んでいる。それくらいはお前も知っておろう。中村元博士は、ゴーダマ・シッダールタの生存はBC463〜383と言っておるではないか。」


演志 「(?)では、あなたは誰ですか?」


ゴー 「余はゴーダマ・シッダールタである。」
演志 「ええっ。」


ゴー 「名にとらわれ、言葉に支配され、背中に煩悩の火が燃えさかっているお前には、余が何者であるかわからない。お前の眼が澄み、背中の煩悩の火が消えたとき、余がわかるであろう。で、お前の悩みは何だ。」


演志 「仕事がいやで、仕事をやめてしまいました。」
ゴー 「そうか。で、お前の悩みは何だ。」


演志 「えっ、だから、仕事をやめて・・。」
ゴー 「おっ、もう名古屋だ。余はビジネスに行く。また会うこともあろう。」
演志 「ゴーダマさん・・。」


 ゴーダマさんはスッと立ち上がり半眼の視線を私に向けた。ほんの微かな笑みを漂わせ通路に出て行った。ゴーダマさん、紺のストライプの背広はバブルだよと思ったところで目が覚めた。いつもと同じ朝だった。